写真家 Nick FujimuraのPhotographer's eye

Sony α7シリーズ愛用の写真家のブログです。写真やカメラの事だけでなく生活全般いろいろ呟きます。

「子の日」さんの包丁を特注で作ってみた!

包丁購入までの顛末

もう30年以上も前に僕が丸元淑生氏の料理に傾倒して初めて購入した包丁が「有次」の包丁だったのですが、さすがに長年酷使してきて柄の中が腐食して膨張して柄を内側から押し上げてしまいました。

最初は柄の部分を交換すればいいやぐらいに軽く考えていたのですが、修理した場合、柄を外した途端に中の鋼が割れる可能性があるので修理はお勧めできません、との事。ならば新しい包丁を買わなければと思って早数年。次に購入するならば包丁の最高峰である「子の日」さんの包丁を購入したいと長い間悶々としていたのです。笑

3年ぐらい前にペティナイフを「子の日」さんで購入したのですが、ステンレスでは満足できずちょっとイマイチだなぁと。それに僕が欲しい包丁というのはいわゆる「牛刀」と呼ばれる種類で子の日さんの中では洋包丁の範疇で取り扱われていました。洋包丁というと上記のペティナイフと同じでステンレス鋼材の包丁になってしまいます。

子の日さんといろいろお話させて頂いているうちに「では、和包丁の鋼材で牛刀を特注しましょう!」という事になりました。但し、製作納期に1年はかかりますと。

「子の日」について

子の日さんの和包丁は、プロが使うプロの為の道具で包丁界の最高峰です。鍛冶師の池田美和氏といえば、国宝級の伝統工芸士であり研師の伊野信平氏も最高峰の研師です。

問題はどんな鋼材を使うかです。そもそも僕は自宅で自分一人の為に料理を作るレベルの人間です。最初は上の画像の「柳刃」みたいなかっこいい包丁を持ちたいと憧れはありましたが、プロの職人が職人人生40年とかで使う訳でもないし毎日お客さんの前で刺身を卸す訳でもないので今回はやめました。素人なんだから何でも扱える両刃の牛刀で充分であると天国の丸元先生のお声が聞こえたんですね。でもキャベツは1mm単位の薄さで素早く切りたいのでやはり鋼じゃなきゃダメだとあれこれ考え続けました。(←こういう考察は一番楽しい瞬間です)

包丁の鋼材について

鋼材もいろいろな種類があると言うことを皆さんご存じですよね? 少し復習してみましょう。

青紙1号、白紙1号が包丁の鋼材としては最高峰になります。分かり易く大学偏差値で例えると、青紙1号は偏差値70以上の東大レベル、白紙1号も偏差値70以上の京大レベルです。両方とも鼻持ちならないツンデレ系で相手を上から目線で選びます。普通の偏差値50レベルの包丁を使ってる人では扱い切れません。バッサリ切られます。笑 青イチと白イチの違いはと言えば、子の日さん曰く青イチの方がガラスのように硬く熟練した研ぎ師でないと割ってしまうとの事でした。当然の事ながら値段的にもアオイチもシロイチも僕みたいな年金生活者には無理なので僕は白2で作る事になりました。白2と言っても子の日さんで作るならば偏差値60以上のレベルです。「有次」さんの包丁なら偏差値55ぐらいですか? 皆さんがお持ちのステンレス鋼の包丁は偏差値40レベルでしょうね。(はい、あくまでも個人的感覚の感想ですので気になさらずに)

僕の包丁画像

製作納期は頑張って頂いて半年で出来上がりました。出来上がった包丁はこんな感じです。

20220626-_BNF1810

憧れの「子の日」さんのパッケージはやはり品格が漂ってます。笑

で肝心の包丁画像ですが、どんな風に撮ればこの包丁の凄みが出るか考えました。それで包丁みたいな鋼材の写真はやはりモノクロで撮った方が迫力があるんじゃないかと判断してこんな風に仕上げてみました。

20220626-_BNF1818

「子の日」のロゴはカッコイイですね。でも、特注ならばアップルのリンゴマークでも入れれば良かったかもしれません。笑 もちろん、Just jokeですよ。(最近jokeを言っても真に受ける人が多くてビックリします)

20220626-_BNF1819

マクロレンズで寄ってみました。「子の日」の下の文字は僕の国語力では読めません。笑

20220626-_BNF1820

白2の牛刀でも「子の日」さんの製作だとやはり極上品ですね。素晴らしい出来です。

20220626-_BNF1830


但し、今回「柄」を「黒檀」でお願いしていたのですが、残念な事に「朴の木」仕上げで出来上がってきました。相談の結果、このまましばらく使って数ヶ月後ぐらいに「黒檀」に変えて頂く事になりました。

20220626-_BNF1832

一般的に広告の商品画像としては上のような写真は認められませんね。でも、写真家目線で仕上げるとこんなのも有りかと思います。

今回、僕が特注した商品は「子の日」さんのホームページでは次のように紹介されています。

但し、牛刀ではありませんので値段は全然違います。

nenohi.jp

「子の日」の特注包丁のご用命は!

もし、僕のように特注で製作したいと思う方がいらっしゃいましたら、「子の日工房」さんの石下さんにコンタクトしてみてください。きっといろいろ相談にのってくれると思います。

www.instagram.com